私が中学1年の夏休みに祖父が亡くなった。




 死因は老衰だったらしいのだが、死に間際、祖父は叫んだ。



 「ぐうぉぉぉぉぉ!!!これはっ、これはぁ、鬼の呪いじゃぁぁぁ!!!先祖代々から隠密にこの国を悪しき鬼から護ってきた我々に対する鬼たちの呪いじゃ・・・・・・」





 そうして、祖父は亡くなった。



 死に際を見ていた私は、まだ、生きてんじゃねぇの?このジジィ。と思うほどの迫力だった。いや、私だけではないと思う。その場にいた親族、主治医を含め、全員が思ったに違いない。



 祖父はそれほど生命力のある人なのだ。




 しかし、祖父もただの人間だったらしく、そのまま帰らぬ人となってしまった。



 祖父、影月 清信(かげつき きよのぶ)、享年120歳。



 しかし、120年なんて普通の人間なら天寿を全うしたと言われると思うけど、このジジィに関しては、あと、200年くらいは全速力で生きていそうだ。実際、私は祖父の葬儀が行われてから四十九日が過ぎるまで信じていなかった。



 なぜそんなことが言えるのかだって?



 根拠もなく、こんなことを言っていてはただの無礼な馬鹿者だ。けれど、根拠ならある。


 例えば、私が小学2年の時だった。私が大型トラックに轢かれそうになったことがある。それをたまたま通り掛かった祖父がトラックの目の前に立ち、片手でトラックを止めたのだ。
 トラックの運転手も、祖父も、勿論、祖父の後ろにいた私も、誰も怪我をせず終わったのだ。それレベルの話しが両手では足りないくらいあるのが私の祖父だ。それだけの体力と防御力を持っているからこそ、火に包まれようが生きていそうな気がするのだ。



 だが、祖父は本当に亡くなってしまった。



 らしい、とつけたいのだが、墓前に立っている時点で受け入れなければならない事実なのだろう。



 私は、祖父が眠るお墓に深々とお辞儀をして、その場を去った。



 それが、中学1年の話だ。



 現在、高校2年、春。


 私は、桜の花弁が散る頃に1人で祖父のお墓参りに来ていた。


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