鉢植右から3番目


「・・・兼田さん?」

「へ?はい?!」

 声をかけられて、ようやく間近に人が立っていることに気がついた。

 驚きからつい素っ頓狂な声を上げて振り返ると、頭一個分上から、無表情な顔が見下ろしていた。

 ―――――――高っ。

 ひとまずそう感想を心の中で述べて、一瞬で全身をざっとみた。

 デブ、禿げ、見苦しい男じゃ、ない。

 物凄く、安心した。

 ・・・ああ、よかった。

 体にはそれなりに肉がついてもう卒業写真のようなひょろっとした感じではなかったけど、背が高いからある程度の肉厚さがないと悲しい。


 長めの前髪が目にかかって鬱陶しそうだけど、服もスタンダードなカジュアルだし、汚くないし、臭いもないし、まずまず・・・うん、そうだな、中の中、いや上、くらいか。

 だったら私も似た様なもんだし、ああ、よかった・・・。

 確かに、本人を前にしてみると、17歳の頃、学校の体育館の壇上、無表情で淡々と目録を読むやつの姿を思い出した。

 そうだそうだ、居た居た、この人。小学校から一緒だったとは思えないくらい薄い記憶だけれど。

 私は遅ればせながら笑顔を作って見上げる。

「はい、兼田です。・・・漆原君、よね。えーっと・・・お久しぶりです」

 少し苦笑したらしい。


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