鉢植右から3番目


 だけど、胸の中に真っ直ぐに突き刺さったトゲが熱をもって存在を主張しているのにも気付いていた。

 ――――――――35歳過ぎたら、高齢出産、か。

 まあ、そりゃあそうだよね。体的な出産適齢期は24歳までと何かで読んだことがある。

 私は32歳で、この夏には33歳になる。あと2年で、高齢出産か・・・。

 予定は全くない。だって子供以前に一緒にいてくれる男性がいなかったのだ。未婚の母でもいいと思うほど子供好きではないし、この人の子供なら!と思うほどに惚れた男もいない。

 だけど、砂時計はきっちり時間を進めていくんだよな~・・・。

 気にしてなかった、というよりは、気にしないようにしていた。予定もないし、そこまで欲っしているわけじゃあない。

 だけど、敢えて言葉に出されるとやっぱり考えてしまうのだ。

 私も彼も一人っ子。ここで子供が出来ないとなれば、彼はともかく(つまり、男性には子供を作る能力だけは死ぬまであるって意味で)、私の家の血筋はここで途絶えてしまう。脈々と続いてきた血を、父と母とその上膨大な人間たちから受け継いできたこの体を、ここで終わらせてしまう。そのことを嫌でも考えてしまった。

 ・・・畜生、おばちゃんたちめ。




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