お前、可愛すぎてムカつく。



3人で教室に入ろうとしたとき、後ろから名前を呼ばれた。


振り返るとそこには見たことがない男子生徒がいた。


茶髪で制服をだらしなく着こなしていて、見るからに不良っぽい。



「あんたが榎本彩?」


「そ、そうですけど…」


「颯太が呼んでるからちょっときてくんねぇ?」


「え!?」


上履きを見ると3年生だった。


この人確か颯太先輩の友達だ…。


「何?」


その時桐谷くんが私とその3年生の間に入ってくれた。


「あれ、お前確か桐谷ってやつじゃ…」


「そーだけど。颯太君が榎本さんになんの用?」


「お前に関係ねぇだろ、俺はただこいつ連れてこいって言われただけだし」


桐谷くんが振り返って私を見た。



「行かなくていーから」


そう言って私の手をとって教室の中に入ろうとした。



「おい!ちょっと待てよ!俺はこの女に言ってんだよ!」


その3年生が桐谷くんの肩を掴んだ。

二人の間に異様な空気が流れ、今にも殴りあいそう。

渉くんもその3年生のことを威嚇してるっぽいし。

周りの生徒たちも何事かと注目している。


< 109 / 307 >

この作品をシェア

pagetop