お前、可愛すぎてムカつく。



中学校の3年間はずっと先輩を追いかけていた。


同じ美化委員で活動している時、先輩は優しく教えてくれて。


それが好きになったきっかけだった。



私は朝会の最中、移動教室の途中、放課後の校庭、色んなところで先輩を探していた。


学校で先輩を見つけると嬉しくなって、胸がドキドキして気分が上がる。


私の中学校生活の思い出は、颯太先輩でいっぱいだった。



高校に入ってから茶髪になって、いつも不良っぽい友達と一緒にいる先輩だけど優しい笑顔は健在だった。


でもその顔が険しく歪んでいる。


先輩のこと、これ以上困らせたくないな…


「あの…だめならいいんですけどっ…」


「ダメじゃないよ」


「え!?」


いつも遠くから見ていた笑顔が、今私に向けられている。


「彩ちゃんのこと知らなかったけど…これから友達として付き合っていこう?」


「あ、ありがとうございますっ!!」


< 2 / 307 >

この作品をシェア

pagetop