恋する歌舞伎
結婚式当日、式場にお腹に子を宿した美女が乗り込んできて冷静で居られる新婦はいないだろう。

その家族もしかり。


様子を奥で聞いていたお光の父・久作は「これまでの義理も知らずに」とお夏清十郎の歌祭文(※)に例えながら、強い口調で二人に別れるよう諭す。

どうしても可愛い娘を、愛する人と添わせてあげたいのだ。

それを聞いて、久松はお光と結婚することを、お染も親が決めた相手と結婚することを宣言する。

久作は安堵し、これで心置きなく娘を結婚させられると花嫁衣裳に身を包んだお光を呼び出す。

しかしその綿帽子をとると・・・なんと剃髪をしたお光が!

一緒になれないなら、二人は心中をするに違いないと悟ったお光は、大好きな久松が死を選ばないよう、自分は身を引き、尼になる道を選んだのだ。


※大店の娘・お夏と手代・清十郎が駆け落ちするも捕えられる、という事件を元にした物語。歌祭文とはそれを三味線などの伴奏に、節をつけてうたったもの。


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