ドクター

心のケア


実加の扉が開くと、斉藤先生が入ってくる。
実加の寝るベッドの横に、斉藤先生が座る。
軽い力で布団を捲ると、疲れたのか実加が寝息を立てて眠っていた。
寝顔を見ながら、やはり自分に似ていると改めて感じる。
頭から額を優しくなでる。




妹か・・・考えたこともなかった。
血のつながった家族は両親だけだが、記憶から消し去っていた。
いなくても何も差し支えずに生きてきた。俺には育ての親がいる。
それに、今の生活がある。院長との生活。
それももしかしたらもう少しで終わりなのかもしれない。
この子と俺は本当に血がつながっているのか、もっと落ち着いたら実加に折を見て話そう。



斉藤先生はクリニックが休みということもあって、実加の寝ているベッドのそばで少し休むことにした。
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