さよなら、愛しき人。【完】
私の宝物。



リビングから聞こえるテレビの音と、子供の笑い声。


「ふぇぇ…うぅ……」


「まぁま!サクくん泣いちゃってる!」


「あら、起きちゃったのねサク」


私はまだ生まれたばかりの子供、サクを抱き上げあやす。


「まぁま、サクくんケガしてない?なんで泣いてるの?」


不思議そうに聞いてくるのはサクラ。


あの日、私のお腹に宿っていた命。


今では2人の子供に恵まれていて、楽しい日々を過ごしてる。


「ただいまー!」


玄関から聞こえてくるのは愛しい夫、ルイの声。


「ぱぁぱ、おかえりなさーい!」


「ただいまーーっ、サクラ!」


ホホにキスをおとす。


「おかえりなさい、ルイ」


「ただいま、唯奈」


私とサクを優しく抱き締め、笑う。


「ぱぁぱ、今日はね、サクラの好きなオムライスなの!」


「そうかそうか、楽しみだね」


「まぁまのオムライス、すっごいおいしいもんね!」


「ふふ、なら頑張らなきゃね」


「サクなら僕が見てるから、夕飯の支度しておいで?」


「ありがとう!すぐおわらせるね」


サクをルイに預け、キッチンへと向かう。


急いでみんなの分のオムライスを作り、テーブルへと運ぶ。


うん、今日も上出来♪


「ルイ、サクラ、ご飯できたよ」


「わぁーっ!ふわふわオムライスっ!」


「それじゃ、いただきます」


「「いただきまーす!」」


2人ともおいしそうにパクパク食べる。


それを見て安心しながら私も食べる。


この何年かで、私は変わった。


ううん、私の人生が変わった。




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