エリート医師に結婚しろと迫られてます
涼平さんは、空のケースを店の横に積み上げると、こっちに向かって歩いてきた。


「久し振りだな。元気だったか?」
森谷さんは、頭をくしゃっとやろうとした涼平さんの手を邪魔をするように、私の体をひょいっと自分の胸に寄せた。


すごい予知能力だ。涼平さんの行動が先に読んでるみたいだけれど、とっても感じが悪い。


「あれ?」

涼平さんは、この間、会ったときよりもさらに日に焼けていた。


私は、隙を見て涼平さんに近づこうとした。
けど、森谷さんの腕に引き戻された。


その反動で、彼の胸に後ろ向きでぶつかった。


何するのよ。私は森谷さんに目で合図した。

ダメ。反応なし。
彼は無表情だったけど、腕の力は強まってる。

腕が痛い。跡がつきそう。そういって振り払おうとしたけど、彼は私を無視した。


「麻結、お前、生意気に彼氏を連れてきたのか?」


「違うよ涼平さん。この人は、お兄ちゃんの後輩で、森谷さん」


「初めまして。森谷です」

涼平さんは、急に笑い出した。
「おまえ、こんなとこでなにやってんだ?」


「ひどいな。せっかく真理絵と会いに来たのに」
私は、涼平さんに答える。


森谷さんは、涼平さんが差し出した手をしっかりと握っていた。


「わかった。痛いって。バカ、やめろ。
中々、いい男だな…麻結にしては、上出来じゃないか?」
涼平さんが顔をしかめて言う。


「ありがとうございます」

私が、否定する前に、
森谷さんの方が先に答える。


「ちょっと、何てことするの…涼平さん誤解するじゃない!」


「基樹の後輩って…大学のだよな?」


「はい。今は、基樹さんと同じ病院で内科医をしてます」


「へぇーやるなあ。よかったじゃないか。本当にくっついて」


ん?涼平さん…もしかして…
私と森谷さんが、お付き合いしても…
よかったって、喜んでるの?



< 100 / 336 >

この作品をシェア

pagetop