「お代わりは?いかがです」

森谷さんは、私のグラスが空になったところで尋ねてきた。

「いえ。もう結構です」私は丁寧に断る。

途中から会話を続けるのが、頭が回らなくなった分、めんどくさくなっていた。

話さない分、お酒が進む。

今日は、仕事を終えてから来たはずだから、みんなきっと疲れてるはず。

森谷さんも。一刻も早く家に帰りたいでしょ、ね?

兄も、だいぶ酔っぱらってきた。

これ以上飲ませると、一人で帰れなくなる。

「お兄ちゃん。そろそろ帰ろう」
私は、小さな声で兄を呼び、

「何だ、麻結子」と、まったく警戒してない声で言い放つ。
私は、兄の服を引っ張る。

自分で、ややこしいこと始めておいて、真っ先に酔ってどうでもよくなるのだ。


ほろ酔い気分で、ご機嫌の兄は、美月の冗談に大袈裟に笑っている。

「もう……」