嘘から始まる運命の恋
第四章 過ちを正したい
 ふと我に返ったとき、電車は私のマンションの最寄り駅に停車していた。慌てて降りようとしたけれど間に合わず、私の目の前でドアが閉まる。

 しまった、ぼんやりしてて乗り過ごしちゃった。

 深いため息をついて座席に腰を下ろした。

 眠いし気だるい。でも、それを心地良く感じるのは、心の底の底まで、体の奥の奥まで満たされたからだ。

 真由里が『体の相性は最高』だと言ってたけど、それは私でもそうだったらしい。

 私とケイも相性がいいから? それともたんにケイが慣れてるだけだったりして……。

 そんなことを思うと、またため息が漏れる。

 別れ話をするはずだったのに、ピアノやサックスの話で盛り上がって、ふたりきりのセッションをしたあげく、寝てしまった。

 真由里になんて言い訳しよう。

 頭を抱えたとき、隣の駅に着いた。今度こそ降りて逆方向の電車に乗る。

 真由里には、ケイと会えなかったって言おうか。
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