choice 01
第二章 出航…そして…

「フフフ…、さあ…役者は揃いました。一人予定外の人間がいますが…、問題はないでしょう」

「君らしい、面白い人選だ。今回程興味深いのは…過去にはなかったな」

「フフフ、私もたまには楽しみたいのですよ」

「遊び心が出たか…。君の悪い癖だな」

「そう言わないで下さい…。ただ先程言われた通り、今回の人選は自分で言うのもなんですが…、実に興味深い」

「そのため、今までと違ったサンプルが採れるわけか…」

「その通りです。今回は今まで以上に富豪達にも楽しんで頂ける事でしょう…」




…午前11時30分…

自己紹介を終えた10人は、それぞれ談笑を交え、出航の時を待っていた。

その中で茶道家の堂島光一は、憮然とした表情で妻のサキに呟いた。
「まだ船は出ぬのか?集合時間からもう30分は過ぎているぞ」

憮然とした光一に、サキはなだめるように言った。
「いいではありませんか…あなた。見知らぬ若い人達と、ふれ合いながら出航の時を待つ…。中々できる経験ではありませんよ」

そんなやり取りをしている、堂島夫婦にOLの愛美と容子、そしてそのOL二人とすっかり仲良くなった美夢が、夫婦に近づいて行った。

グラスビールを片手に愛美が言った。
「そうですよ!奥さんの言う通り!旅は長いんですから、楽しみましょう!」

愛美は少し酔い気味で、はたから見たら絡んでいる様にも見える。

そんな愛美を友人の容子が嗜めるように言った。
「ちょっと…失礼よ!愛美…」

愛美の様子を見て、サキはクスクス笑いながら言った。
「気になさらないでいいんですよ。主人にもこういった刺激は必要ですから。ねっ、あなた?」

「うむ…、そうだな…。しかし我が娘なら許さぬところだか…、善き旅にするには無礼講も必要かもしれぬな」

光一は、怒ってはいないが呆れ気味だ。


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