choice 01
プロローグ ②招待状

2011年夏

月島 葵(つきしま あおい)は、自宅のリビングで、トースターに焼かれた食パンを頬張りながら、眠たそうな二重瞼の目で、テレビの報道番組を視聴していた。

  時刻は午前11時…、朝食にしては少し遅い。大学が夏休みのせいもあってか、生活が少々不規則になっている。
 
無造作になっている癖毛を、右手でかきむしりながら、思わず呟いた。
  「退屈だ…」

  夏休みになってから数日が過ぎたが、予定もなく家でただダラけているだけだった。

  葵は容姿端麗でスポーツも万能な大学生で今年の春に20歳になった青年だ。
見た目は美男子で、大学内でも有名人だが、友人は少ない。

  しかし、それには理由があり、葵は頭が良すぎる。そのため、人と話す時に理屈っぽくなることがよくあり、相手が苦手意識をもつ。
  そのため、「月島 葵は変わり者」といった噂もあるほどの有名人で、それが友人が少ない理由の一つでもある。
 
  葵がリビングでくつろいでいると、自宅のインターフォンがリビングに響く。

  今自宅には葵しかいない。母は買い物に出かけていて、平日なので父はもちろん仕事で家にいない。
ただ、父に関しては、曜日に関わらず仕事の都合上ほとんど家にいない。

  葵は受話器を取ることもなく、直接玄関に向かった。

受話器を取らなかったのは、数十分前にスマートフォンにメール受信が有り、誰が来るか分かっていたからだ。

  葵が玄関のドアを開けると、葵の予想通りの人物がそこにいた。

その人物は葵と同じ位の年齢の女性で、背中まであるストレートで綺麗な黒い髪が、その綺麗な顔によく似合い、キャミソールと、タイトなジーンズ姿も様になっている。
< 2 / 37 >

この作品をシェア

pagetop