イケメン王子先輩と私。

平和な日々。


数日後の放課後。私と霰で子猫の様子を見に行った。


「相変わらず元気だね。また大きくなってない?」


「だな。……雫って、猫みてぇだな。つか、あの時の雫すげぇと思ったよ。まさかあんな事を言うとは思わなかったし。……ありがとな、守ってくれて」


霰はそう言って私の頭を撫でた。私が猫みたい、か……。


「……こちらこそ、ありがとにゃんっ」


「……好きだ、バカ」


「んっ……!!」


そう言って霰は私を抱きしめた後、キスをしてきた。


「2人とも仲いいねー、俺も混ぜてよ」


「「!!」」


後ろを振り返ってみると、ニコニコと笑っている相原先輩がいた。い、いつから……!?


「おまっ……、い、いつから見てたんだよ!?」


「霰がキスした所から」


「そうか、よかった……。つか、何できてんの?」


確かに……。


「よく俺、ここに来て昼寝してた時があったからね。でもこんな所に猫がいた事は初めて知ったよ」


相原先輩は猫の頭を撫でようとしたが、猫は先輩の手を避けて私の所にきた。


「てか、久しぶりに一緒に帰ろうよ、3人で」


「うん、じゃあまた明日ね、猫ちゃん」


そう言って私達は校門を出た。


「……そういえばさ、雫ちゃんといつもいる子って、何ていう名前なの?」


相原先輩は私の隣に来てそう聞いてきた。


「愛嶋奏だけど……何でですか?」


「えっと、それはー……」


相原先輩はそう言って、首を掻いて苦笑した。


「あっ、もしかして……奏の事好きなんですか!?」


「えっ」


相原先輩は『図星だ……』という顔をして固まった。


「雫、コイツ図星だとこうなるから。……つか、お前は何で愛嶋が好きなんだ? きっかけとか無さそうだけど」


「んー、まぁ無いんだけどさ……気になるんだよね、愛嶋さんが」


「じゃあ私が奏に相原先輩の事が好きか聞いてあげましょうか?」


「え、無理だよ……この学校の女子は結城霰という王子にしか興味ないだろうし……」


「おいおい、何か俺が悪いみたいな感じになってるじゃねぇかよ」


「とにかく、今度奏に聞いてみますから! じゃあ相原先輩と霰、また明日ね!」


そう言って私は2人と別れて家に帰った。それから数日後、奏に相原先輩の事が好きか聞いてみた。


「ねぇ奏、好きな人とか、いる?」


「え、どうしたの急に……。いるよ?」


「ん、ちょっとね……。で、誰なの?」


「うーん……秘密!」


「じゃあさ、……相原先輩は好き?」


「えっ、……相原先輩!? えっと、……うん」


「え? うんって?」


「……私の好きな人、相原先輩なの……」


「えぇっ!?」


まさか奏が相原先輩を好きだとは思わなかった……それに、両思いじゃん!!


「こっ、告白とかしっ、しないのっ!?」


「え、何で雫そんなにかんでるのよ?? ……無理だよ、相原先輩はモッテモテなんだよ!? ラブレター1日50枚もらった、あの相原先輩が私の事を好きな訳ないじゃーん!!」


そう言って奏は私の背中をバシバシ叩いた。どうすれば2人をくっ付けられるだろう……。あっ、そうだ!!


「じゃあ、今度の休日にある祭りに私達と相原先輩と霰で行こうよ!」


「うーん、……そうだね、行こっかな」


「よし、決ーまりっ! じゃあ後で細かい事伝えるから!」


そう言って私は教室を出て霰の教室へ行った。


「おー、雫。どうした?」


「あのねっ、奏の事なんだけど相原先輩の事好きだって!! ……それで、4人で今度の休日にある祭りに行く事になったんだけど大丈夫?」


「あぁ、銀もいつでも空いてるって言ってたし、大丈夫。あとこれ、銀のアドレス。愛嶋に渡してくれ、だってさ。自分で渡せばいいのにな」


「意外とシャイなんじゃない? じゃあまたね!」





< 19 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop