~Lion Kiss~
……なんだ、人を奈落に突き落とすようなこの返答は。

「……お世話になりました」

「こら、聞いてんのか!スマホかせ!」

言うなり來也は私の手からスマホを奪い取った。

「きゃあ、何すんのよっ」

來也は両腕を高く伸ばして、私の妨害を阻止しながらスマホを素早く操作した。

直ぐに聞き慣れない着信音が、部屋の奥から聞こえる。

「はい、終了。ちゃんと履歴から、番号登録しろよな!俺もしといてやるから」

……ジャイアンか、お前は。

思わず口を突いて出てしまいそうになる言葉を飲み込んで、私は來也のマンションを出た。
< 94 / 444 >

この作品をシェア

pagetop