白と黒のコーヒータイム
「…はあ。」

もうこのシーン何度目だろう。

でも大丈夫、明日に多少は引きずっても長引かせないのが彼女のいいところなのだ。

「やけ酒やけ食い!やけ雑誌にやけ漫画だ!」

ヤケクソな独り言も口にすれば気持ちが上がるから不思議。

「やけDVDまで付けてやる!」

もう心は上がってきているらしい。

こうなったときの国見の目標はいつも決まっていた。

「明日には復活!」

仕事に支障をきたさないという社会人としてのプライドが今日も国見を支えているのだ。






「んで?そもそも何で国見はそいつと付き合った訳?」

日付が変わり仕事も通常通りにこなした後のビールはいつもどおり美味しい。

しかしホットすぎる話題にいつも以上の苦みを感じるのは気のせいではないと国見は目を細めた。

「…チッ。やっぱりか。」

ビールを片手に舌打ちすれば目の端に映る男が眉を寄せる。

怖くない訳ではないが見慣れている分、いくらか効力は薄くなっていると国見は思った。

「舌打ちは品がないぞ。」

「居酒屋で品を求めないでくれる?」

「人が愚痴を聞いてやろうと誘ってやったのに態度が悪くないか?」

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