六周年記念小説
期末テストと佩川先生……
四人で話し合い、
雫は一ヶ月後に
引っ越すことになった。

恋人になった今、
私と一緒に暮らしているのが
何かと部が悪いのは
分かりきっていたから
それに対しては
別に言うことはなかった。

休みの日に三人で
決めて来たというマンションは
オリオン荘と学校の中間にあった。

*************************************

十月になり、オリオン荘は三人になった。

もうすぐ、期末テストが始まる。

そんな生徒も教師も
忙しい時期に問題が発生した……

ソレが解ったのは
後一週間で期末テストだという日に
勇人が大慌てで帰って来たからだった。

ガチャン 、バタンと慌てて
玄関に入って来た。

「どうしたんですか!?」

奥のキッチンで料理をしていた
私もリビングに行った。

「二人とも悪い❢❢」

いきなり小声で謝られて
泰佑と二人で首を傾げた。

『どういうこと?』

私達も声を落として話す。

理由を訊かないことには
私も泰佑も何とも言えない。

「どうやら、つけられてたらしい」

「しかも、犯人は
うちの学校の三年の学年主任だ……」

ありゃりゃ、それは困った。

その日は何の対策も
練られずにそれぞれ自室に戻った。

家を出る時間は二人の方が早いし、
相手が学年主任なら
少なくとも朝に会うことはないだろう。

しかし困った……

一週間後は期末テストだ。

厄介なことになった……

『二人ともお帰り』

何とか四日間無事に過ごし、
週末を迎えたものの、
このままでは
学年主任が何時また
オリオン荘まで来るかわからない……

だから、食材などは泰佑や勇人に頼み、
私は夕方以降に
外へは行かないようにしていた。

三人は前に
【 「此処に最初から住んでたのは
梓だし、生徒が住んでると
分かった上で此処住むと
決めたのは俺達なんだから
もし、何かあったら
それは俺達の責任だ」 】
って言ってくれたけど、
なんだか二人に悪い気がする……

確かに、最初から住んでたのは
私だけど、今は一緒に
住んでいるんだから三人で
責任を取りたい。

守られてるだけなんて嫌だ。

今日はテスト一日目。

二人が教えてくれたお陰で
何時もより出来そうだ。

さて、
三年の学年主任をどうするかだよね……

オリオン荘には勇人しか
住んでないと思ってるのだろう。

取り敢えず、テスト期間中は
来るのは無理だろう。

兎に角、この間に
作戦を考えなきゃね。

**夜**

「ただいま」

勇人と泰佑が帰って来た。

『お帰り』

「梓、聞いてくれ❢❢」

勇人がげんなりしながら言った。

『どぉしたの?』

話を聞くと、なんと佩川先生は
お弁当を作ってきたらしい。

どぉやら、“あの時”にいなかったみたい。

勇人は私が作ったお弁当が
あるから当然断ったら
その場で泣き出したらしい(苦笑)

雫もその場にいたみたいだ。

職員室は一時騒然となったと途中から
勇人の代わりに泰佑が
苦笑いしながら説明してくれた。

『大変だったんだね』

そりゃ、好きな人に
自分が作ってきたお弁当を
食べてもらえないのは
辛いし寂しいけれど
いい大人が
公衆の面前でマジ泣きはなくない?

「マジ勘弁してくれって感じだよ」

心身共に疲れているみたい。

『三人共、お疲れ様』

この場にはいない雫も
大変だったに違いない。

夕飯は勇人の好物の生姜焼きにしよう♬♡

『ご飯作るから
二人共着替えてきなよ』

ちょうど、出来上がった頃に
二人がリビングに戻って来た。

「生姜焼き!?」

心なしか嬉しそう。

『色々、疲れてると思ってね。
それに、生姜焼きは
勇人の好物でしょう♪』

佩川先生は多分
明日もお弁当を
作って来るだろう……

テスト期間中とはいえ
教師達は忙しい。

なんの策もたてられないまま
一日が過ぎてしまった。

********************************

**一週間後**

今日はテスト最終日。

とりあえず、テスト期間中は
何事もなく過ぎた。

動くとしたら今日だよね……
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