オフィスにラブは落ちてねぇ!!
ロールキャベツな狼とツンデレな猫
愛美は頬を撫でる優しい手の感触に目を覚ました。

いつの間にか眠っていたようだ。

緒川支部長に膝枕をされている事に気付くと、愛美は慌てて起き上がった。

「あ…起こしちゃったかな。」

「ごめんなさい、いつの間にか寝ちゃってた…。」

「もっと寝てても良かったんだよ?愛美の寝顔かわいいから、いくらでも見てられる。」

「寝顔見られるのは恥ずかしいです…。」

愛美が恥ずかしそうにそう言うと、緒川支部長は愛しそうに笑った。

「お腹すいた?」

「少し…。」

「何か美味しいものでも食べに行く?」

壁時計の針は6時を指そうとしていた。

「あ…もうこんな時間…。」

せっかく早く仕事を終わらせて会いに来てくれたのに、あんな事があったせいで楽しみにしていたデートもできなかった。

「ごめんなさい…。せっかく早く仕事終わらせて来てくれたのに…結局どこにも行けなかった…。」

愛美が肩を落としてそう言うと、緒川支部長は愛美の頭をポンと軽く叩いて立ち上がった。

「だから、これから行こ。まだ6時だよ?」

緒川支部長は愛美の手を引いて立ち上がらせた。

「何食べたい?昨日の美味しいシチューのお礼に、ご馳走するよ。」

「えーっと…なんだろう…?」

「じゃあ、ドライブでもしながら一緒に考えようか。」



それからしばらく、車を走らせながら何を食べようかと二人で考えた。

普段あまり食べた事のないものが食べてみたいと愛美が言い出し、偶然見つけた沖縄料理の店に入った。

「せっかく沖縄料理の店に来たけど、車だから泡盛は飲めないな。愛美だけでも飲む?」

「今日は私も我慢します。今度は歩いて行ける店を探して、一緒に飲みましょう。」

たくさんあるメニューの中から、タコライスやソーキソバ、フーチャンプルーやテビチなど、聞いた事はあってもあまり口にした事のないものを注文して、分け合って食べた。

緒川支部長は、美味しそうに料理を食べている愛美を見ながら、少しは気も紛れたかなと安堵した。




< 97 / 112 >

この作品をシェア

pagetop