14年目の永遠の誓い
1.第一の関門
高2の二学期、夏休み前日。
空に輝く太陽とうるさいばかりのセミの声が夏の暑さをアピールしていた。

普通なら、照りつける太陽にうんざりだと愚痴をこぼしたいところだけど、今日は授業もない終業式。
明日から夏休みとあって、逆にこの快晴もウェルカムモードで迎え入れられていた。
まだ受験まで1年あるこの夏、むしろ今年遊ばなくて、いつ遊ぶと言った様子で、ここ数日は学年全体が夏休みの話題でいっぱいだ。

ありがたいことに、暑さが厳しくなったのはこの一週間で、それまでは空梅雨に続く冷夏という異常気象だった。農家の人は大変みたいで、ありがたいなんて言うと申し訳ないと思う。

だけど、そのおかげで、6~7月の間、ハルはひどく体調を崩すこともなく、数度の欠席だけでほとんど登校できていた。
中間も期末も教室で受けることができたし、成績は両テストとも学年一桁。元々、ハルは頭が良いけど、今回は過去最高じゃないだろうか?

夏と冬に大きく体調を崩すことの多いハルは、中間・期末のどちらかのテストは受けられないことも多く、追試では成績も割り引かれるし、仮に受けられても体調不良では良い成績も出にくい。

……ってか、そんな状態でも、オレより遙かに点数良いってのは若干微妙だったりもする。



セミの声をBGMに裏口の壁にもたれて待っていると、ハルの乗る車が入ってきた。
静かに、オレの待つ階段前に車が止まり、オレは嬉々として後部座席のドアを開ける。



「ハル、おはよう!」



まずハルの学生鞄を手に取って小脇に抱えて、それからハルの手を取る。



「おはよう、カナ」



ハルは花がほころぶように笑顔を見せ、オレに手を引かれて車を降りた。



「行ってらっしゃいませ」



運転手さんの言葉にハルが、



「行ってきます」



と笑顔で返事をするのを待ち、オレはドアをトンと押して閉めた。

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