腹黒王子に秘密を握られました
第一章 人生終了のお知らせ
 
□第一章 人生終了のお知らせ


午後五時半。
新栄ハウジングの営業部にはチリひとつなく、各デスク脇に置かれている小さなゴミ箱も、綺麗に空だ。

ファックスやメールも全て確認し、営業から連絡のあった物件のネット情報を修正する。

依頼されていたハウスクリーニングの見積書を印刷し、ついでに媒介契約期間の更新の近づいた物件もリストアップして担当者のデスクにメモと一緒に置いておく。

印紙や切手を軽くチェックし、本日分の小口現金の支払いがないのを確かめて手持ち金庫に鍵をかけ、さらに備え付けの金庫の中へしまう。

午後五時四十五分。
ぱらぱらと返ってきた営業を笑顔で迎えながら、パソコンを落し立ち上がる。
定時の六時を迎えると同時にロッカーに直行、上着とバッグを引っ掴んでさっさと事務所を出れば、六時五分のバスに乗れる。

完璧だ。我ながら、今日も完璧なタイムスケジュール。
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