□第九章 一世一代の。


 


はじめて来たおしゃれなお店。

ゆったりとしたソファー席には手触りのいいクッションがいくつも置かれ、室内なのに張られたタープが、隣の席から視線を隠しなおかつ程よい閉そく感を出して、秘密基地にいるみたいな気分にしてくれる。
飴色の古い木のテーブルに置かれたオイルランプの炎が帆布のタープをゆらゆらと照らし、出てくる食器やカトラリーもイッタラやアラビアのおしゃれ北欧雑貨。
流れるBGMはどこか民族音楽をイメージさせるアレンジのボサノバ。

もう、なにからなにまでおしゃれすぎて、ものすごく自分が浮いてる感じがするんですけど。

おおおおおおおお落ち着かねぇ。
もうおうちに帰りてぇ。

座り心地のよすぎるソファーでそうつぶやいていると、

「挙動不審」

と隣に座る柴崎くんに冷たい目で見られた。

「普通女の子がこんなおしゃれカフェに来たら、かわいー! ステキー!ってはしゃぎません? なんで反対に塞ぎ込むんですか。友野さんってホント、想定外というか期待を裏切らないというか……」

あきれる柴崎くんに、私は頬を膨らませる。

それなら私みたいな変人じゃなくて、こういうおしゃれスポットを喜びそうな普通の女の子を連れてくればいいじゃないか。

休みの水曜日、デートしましょうと柴崎くんに強引に連れ出されてやってきたカフェ。
店内はお客さんも店員さんも、あっちもこっちもキラキラしたおしゃれな人種ばかりで、落ち着かなくて仕方ない。


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オフィスラブ  俺様  性悪  社内恋愛  大人  意地悪