カタカタとキーボードを打ち鳴らすこと一時間。
メール着信音で集中が途切れた。


【分かったよ。八重ちゃん、ムリしないでね。今度都合良い日いつ?】


明日美からのメールだ。

いつもの穏やかな笑顔が頭に浮かんでくる。

明日美とは高校時代からの友達だ。
癖が強い髪を気にしていて、見かけには自信が無いらしく、よく人の影に隠れていた。

でも、絵を描くのや裁縫が得意で、高卒で専門学校に行った後、小さな服飾会社でパタンナーをしている。
ちょっとオドオドしてるのは玉に瑕だけど、彼氏とも上手くやってるんだろうなぁ。


それから明日美と高校時代から付き合ってる三笠くんの事を思い出した。
私とは中学も一緒だった彼。

明るくて、イケメンで、オタクであることも公言してた。
コスプレとかもちょー似合ってて、オタク女子である私にとって彼は憧れの存在だった。

まあ彼は、私のことなんか全く眼中になかったみたいだけどね。


今はバイトをしながら役者をしているらしい。

少し前はテレビの仕事も受けていたらしいけれど、やっぱり舞台が好きだと言って、最近はそっちに戻っている。
一時期は顔出して歩くと騒がれることもあったらしいけれど、数年でそんなこともなくなるのは芸能界という世界の移り変わりの速さを如実に表しているように思う。


明日美との付き合いもかなり長いはずだけど、結婚とかしないのかな。


【ありがとう。明日は大丈夫だと思う。また連絡するね】


明日美に返信。
しばらくするとすぐに返事が来る。


【うん。待ってる】