吸血鬼、頑張ります。



何処をどう歩いたのか解らないまま、鉄観音は屋敷に辿り着いた。


「イブちゃん!香織ちゃん!沙織ちゃん!ちょっと皆来て!!!」


玄関で大声を張り上げ、鉄観音は3人を呼ぶ。



真っ先に駆け付けてきたのはイブだった。


「どうなさいました?王?」


イブは鉄観音の背中の少女を見るなり、

「王!まさか、ここまでの真性変態ロリコンだったとは思いませんでした!!」

と、罵声を浴びせた。


「いやいやいやいや!違うから!襲ったとかじゃ・・・」


「お、襲った!!??」

次に駆け付けてきたのは香織だった。


聞くよりも早く、鉄観音目掛けてドロップキックを炸裂。ミゾオチに綺麗に決まった。


「ふぐはっ!!」


鉄観音は息も出来ず、少女を背負ったまま、思い切り吹っ飛んだ。


吹っ飛んだ弾みで、背負われた少女は宙を舞った。
それをすかさず受け止めたのは沙織だった。

「お〜さま、誰?この子?」


沙織は壁に単身激突するであろう鉄観音を見ながら聞いた。


ダガッン!!
「うぼらっ・・・」


鉄観音は背中を強打し、床に倒れ付した。



『王様!!!どういう事ですか!!!』



3人は一斉に声を揃えて鉄観音に聞いた。



「・・・。も、もりで・・・」


鉄観音はそれだけを言うと、気を失った。

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