吸血鬼、頑張ります。



「生者が、吸血鬼に吸血された場合、血を吸われた人間は吸血鬼になります」


ひよりは黙って聞いている。


「生きている人間と何ら変わりませんが、多くの場合、100年程度で肉体は消滅し、魂が解放されます」


「人と同じように歳を取りますが、外見の変化はとても遅く、100年後の姿はおそらく人の年齢で30歳前後の外見でしょう」


ひよりはいぶかしげな顔をイブに向け言った。


「だから、そもそも吸血鬼なんて居ないんですよ!!変態に拉致監禁されただけじゃないんですか!?」



イブは静かに続ける。


「ふぅ・・・。自殺をしに森に入っておいて、拉致監禁とはおかしな事を・・・。良いでしょう。あなたが吸血鬼に変化した証拠をお見せ致します」



おもむろにイブは右手を突き出す。

拳を握りしめ、何かを唱え始めた。


すると、イブの右手に串に似た細長い棒状の槍のようなものが現れた。


イブはその槍を振りかぶり、ひより目掛けて投げて貫く。


一瞬の出来事だった。


ひよりの心臓に突き刺さった槍は、ひよりごと部屋の壁に突き刺さり止まった。


ドボドボと大量の血液がひよりの胸から流れ出した。


「い、痛い!!」


凄まじい激痛がひよりを襲う。


槍から抜け、胸を押さえながら、ひよりは床を転がり回った。


「痛いよぉ〜!!死んじゃうよ!!」



「あなた、今貫かれた心臓を見てみなさい」

イブはひよりに言う。


痛みを堪えて、イブが言うように自分の心臓を見てみた。


ひよりは驚いた。


血は止まり、それ所か傷すら跡形も無く塞がっていた。


「ええっ!?ど、どう言う事なの?」



「それが吸血鬼の証拠。不死身属性の虔属に成った証です」


イブは不思議がるひよりを見据える様に、言い放った。
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