ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜
先生の目と口



◇◇◇


翌日の放課後。

私と敬太は、職員室で担任の桜井先生に怒られていた。



「ちょっとあなた達、高校生にもなって低次元の嘘をつくのはやめなさいよ!

先生まで学年主任に嫌味言われちゃったわよ。
2ー5は馬鹿しかいないのかって。

いい?次に同じようなことやったら、親御さんに来てもらうからね!」



机に叩きつけられた日誌の大きな音に、私はビクッと肩を揺らした。


桜井先生は、28歳の女の先生。

見た目は女優さん並に綺麗なんだけど、イライラしていることが多いし、怒り方がヒステリック。


私はこの先生が苦手……と言うか、はっきり言って嫌い。

香水臭いのも嫌だし、カッコイイ男子と話す時の声が半音上がるのもイヤ。


そんな先生でも一応担任なので、これ以上怒らせないように「すみませんでした」と頭を下げてから、敬太と一緒に職員室を後にした。



廊下を並んで歩きながら、敬太は悔しそうに舌打ちする。



「やっぱ、先生達は信じてくれねーよな。
イタズラだって決めつけるし、犯人扱いされてトイレ掃除までやらされるし、散々だよな」


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