小悪魔な彼の想定外な甘い策略
8
*****


「ちょっ……開ーけーてーくーだーさーいーよっ!!」


「いーやーだーっつーーーの!!」


ガタガタガタガタ


試着室のオサレな木製のドアにつけられたアンティークっぽい取っ手が汗ばんで滑り出す。

容赦なく開けようとする梶山君と、意地でも開けまいとする私の本気の攻防戦。


ドアの向こうの空気が変わったと思ったら、店員さんと梶山君の会話が聞こえてくる。


「智くーん、どうしたの?」


「いやさー、つかさー、彼女が恥ずかしがって試着室から出てこない」


!!!

アンタここの店員さんと友達なわけ?!
て言うか彼女じゃないっつーの!!


「えー?あの子がずっと言ってた噂の智君の彼女さんなのね?!挨拶したい!」


「つーか出てこないー」


「違います!!」


思わず、試着室の中から大声で叫ぶ。


「あはは、恥ずかしいんじゃない?彼女、何試着してるのー?」


「あそこに出てたオフショルダーのアイボリーのワンピ」


「あー、あれかわいいよねー!」
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