プワゾン
誤解
 それから二週間くらい経った頃、沙耶から電話があった。

「私、ごめんね。あなたを疑ったりして。プワゾンは会社に来てもらってる税理士さんが使ってるんだって」

 達也は父親の設計事務所を引き継いで次期社長だ。

「そうなの。良かった」
 思わず笑顔になる。

「本当に、ごめん。また食事にでも行こうね。私が奢るから。フレンチ予約するからね」

 沙耶の声も幸せそうに弾んで聞こえる。

「楽しみにしてるわ。達也は? 今そこに居るの?」
 つい聞いてみた。

「きょうは出張なの。明日には帰ると思うわ」

 誤解も解けて、仲直り出来て、妻の余裕を感じさせる声だなと思う。

「そう。達也によろしくね。じゃあ」

 私は電話を切った。






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