セピア‐ため息の行方
第3章‐予期せぬ出来事
  花梨と親しかった会社の仕事上の先輩である茂木早苗(もてぎ さなえ)と後輩の若い女の子前嶋桃香(さきしま ももか)は、花梨が所属していた課の社員の代表として病室を訪れた。それは花梨が入院をして2日目の事であった。


  ちなみに社員の一人がこうして入院した場合などのお見舞金は、冠婚葬祭費として社員達がお給料の中から月々徴収されているお金の中から速(すみ)やかに用立てられる。


  そしてお見舞い用の熨斗袋(のしぶくろ)にその会社で定められた規定額に基づいたお金を入れて、その入れたお金の額とその課の全員の名前を書き、尚且つお見舞いにふさわしいと思われる、お花やタオルなどを携えて課の代表の者が病院を訪れるのである。


  花梨が入院をしている病室は前もって上司に知らされていたので、二人は迷う事なくスムーズに712号室の扉の前に辿り着く事が出来た。
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