オフィス・ラブ #∞【SS集】
私と同じ名前のその子が満たしていってくれた冷蔵庫の中身は、たっぷりの水分と、貴志みたいなズボラでも食べられるレトルトや缶詰。

現実的で、気の利く子だ。


初めて彼女に会った時、私はたぶんというか確実に、いいところを邪魔してしまったんだけど。

これまでの相手からすると、ちょっと意外なタイプだったので、強引に居座って話をしてみた。


柄にもなく優しい声を出す貴志を見て。

ようやくこの人は、自分から誰かを選んだんだと、なんだか安心した。


貴志を信頼しきっている様子の彼女は、なんとも可愛くて、感じがよくて。

新庄さん、と呼ぶ愛らしい響きに、こっちがくすぐったくなるほど。



できたら、またいずれ会えるといい。

あの子といれば、貴志は大丈夫。


なんとなく、そんな気がする。



残念ながら、彼女の靴は、あの時、見られなかったけれど。


きっと、これまで見た、どれよりも。

趣味がいいに違いない。





Fin.




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