「やっぱり、第一希望は秘書課かな。面接でも、秘書検一級をアピールしといたし、結構手応えあったと思うんだけど」

スーツのポケットから取り出した小さな鏡に極上の笑顔を向けたあと、七海子(なみこ)が悪戯っぽい微笑みを向ける。


同期の中でも一番の上玉だと、入社一ヶ月目にして既に社内で評判になるほどの美貌。


油断すると女の私でさえ、その形の良い唇に釘付けになってしまう。


「希望通り配属されるんじゃない? 七海子、いかにも『秘書』って感じだし」

「ふっふ〜。やっぱり? 実はちょっと自信あるんだ〜」


鮮やかな笑顔を向けられ、そのあまりの愛くるしさに思わずこちらも笑顔になってしまう。


七海子——宮原(みやはら)七海子とは、入社試験の時彼女に話しかけられて以来ずっと一緒にいる。


その完璧な容姿のせいで、パッと見近寄り難いけれど意外に面倒見が良くて姉御肌の七海子。


若干のんびりしている私とはちょうど良い組み合わせのようで、出会ってから今日に至るまで毎日のように連絡を取り合う間柄だ。


そして、これからは毎日社内で顔を合わせる同期同士。


誰とでもすぐ打ち解けられる七海子が一緒にいてくれることは、少々引っ込み思案の私にとってずいぶん心強い。