イケメン御曹司に独占されてます
月に挑む萌愛
翌日の午前中は急ぎの案件も無くだらだらと過ぎた。
事務処理が集中する第三営業日の翌日ということもあり、オフィス全体がちょっとした小休止の状態になっている。

簡単な月次の仕事を片付けてしまうと、私は珍しく十二時ちょうどに席を離れ、七海子の待つ役員応接室に向かった。

なんとなく重い足取りで扉を開けると、部屋の中では同じく七海子が、どんよりした表情でソファに身を預けている。
私たちは言葉少なに、今朝ベーカリーで買ってあったパンをかじる。
いつになく重い空気が、応接を覆う。


あれから——会議室でのやり取りのあとオフィスを出たところで、心配した七海子から連絡があった。
待っているという行きつけの居酒屋のドアを開けると、七海子と野口くんがいつものテーブルにいるのが見えた。
ふたりに迎えられて椅子に座る。


『それで、秀明さんはなんて?』


『今は忙しいから待っててくれって。明日の大きな仕事が終わったら説明するって……』


『なにそれ!! 理由があるなら、その場ではっきりさせればいいじゃん!!』


憤慨した様子でまくしてる七海子を遮るように、野口くんが言った。
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