イケメン御曹司に独占されてます
「福田、昨日の少量のオーダー、ちゃんと見直ししたのか」


「え……」


戸惑う私の返事を待たずに、池永さんがキャビネットから伝票を探しだした。


そして席に戻ると、眉間にしわを寄せたままパラリと私の前に伝票を落とした。


「……厚さ三ミリの厚板なんて、有り得ないだろ」


「えっ……」


真っ白になった頭をフル回転させて伝票を見ると、確かにゼロが二つ抜けている。
明らかな私の入力ミスだ。
一瞬で指先が冷たくなる。


「昨日の朝入れたデータが、エラーになって返ってきてる。……昨日の夕方連絡したけど誰もつかまらなかったって、滝川さんがえらい剣幕だ」


「すみません……っ」
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