イケメン御曹司に独占されてます
そう必死で前向きな気分を保っていたら、野口くんが辞令をひらひらさせながら、喜々として帰ってきた。


三人で顔を見合わせて、七海子も一緒に笑顔になりかけた時、私も名前を呼ばれて慌てて立ち上がった。
それに反応した広瀬さんの視線が、敵意に満ちているのを感じる。


なんであんなに怖い顔……。


根拠のない不安が沸き起こる心を落ち着かせて、人事部長の前に立った。


温和でいながら威圧感のあるオーラ。
人事部長に感じるのは、いつもそんな雰囲気だ。
その深く心を探られるような視線が注がれると、そのまま真っ直ぐ視線を返した。


「福田さん、僕たちはきみにとても期待しています。頑張ってください」


「はい!」



どんな部署でもいい。こんな風に言ってもらえる会社に入って良かった!

そう思いながら、手渡された紙面に視線を落とす。


次の瞬間——頭の中が真っ白になった。




「福田萌愛殿 配属決定辞令」




まさか——まさか、そんな馬鹿な。





「第三営業部勤務を命じます」





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