強引な次期社長に独り占めされてます!
9:きっかけ
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今年の年明けは衝撃的すぎた。

何を言っても“嫌だ”しか言わない主任に諦めて『とりあえずでいいのなら』と承諾したら、ウキウキと部屋着のまま連れ出されそうになってまずビックリ。

さすがにそれは勘弁して欲しかったので断ると、何故か『しょうがないなぁ』なんて言われて、けっこうあっさりと主任は帰ってくれた……。

そのはずなのに、一眠りした元旦初日に、またスマホが鳴って電気屋さんの初売りに誘われた。

次の日には、主任のお兄さんは夫妻のお宅にご飯を食べに行き。
その次の日には、高畑さんのレストラン兼お宅にお邪魔して、ご夫妻にからかわれた。

その次の日はカラオケ、次の日はボーリングと何かしらに誘われて、いつの間にかあっという間に正月休みは終わってしまう。

一月一日から2週間過ぎた頃。

新年の挨拶も一通り済み、落ち着いて通常業務に戻って、何となくほのぼのな空気の中。

「確認お願いします」

主任は仕事中は相変わらず真面目な表情で、淡々としている。
書類を渡して席に戻ろうとすると、その主任が顔を上げた。

「最近、提出が早くなったな。ミスも減っているし」

「ありがとうございます」

新人の頃、数値を間違えて大惨事になりかけ、迷惑をかけたことがあるから気が抜けない。

一度処理した書類を再確認、その上で書類を印刷するから、どうしても時間はかかるけど、ミスるよりはよっぽどましだと思う。

最近はケアレスミスも減ってきたから、確認も楽になったし。

もしかして、やっと仕事にも慣れてきたのかな。
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