強引な次期社長に独り占めされてます!
ちょっぴり呆気に取られて、それから心の中で大慌てする。

そ、そそそんな意味不明な“教育的指導”なんていらない!

男の人は苦手だけど、苦手なままでいいし!

そんなもの、仕事場の上司が手掛けるような指導の範疇越えてると思いますから!

「心構えに一週間やるって言ってるんだけどな? どっちがいい?」

……どっちをとっても嫌なんですが、なんて言ったら拉致られそうな気もする。

実は主任って強引なのは、今日一日でよくわかったと言うか……。

「ど、土曜日で」

「了解。じゃ、よく眠るように。寝不足は美容に悪いって聞くしな」

さっと掴んでいた手を離してくれると、主任はいつの間にか外していたらしいシートベルトを締め直す。

それを横目で見ながら、ドアを開けると車を飛び出して、すぐさまドアを閉めた。

車内の様子は暗くて、主任がどんな顔をしていたのかもわからなかったけど、慌ててマンションの入口に向かうと無駄にエレベーターのボタンを連打する。

とにかく、その場を逃げ切る事しか頭になかった。









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