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そして、何事もなく過ぎ去った週末の土曜。

フローリングの床に正座をして、テーブルに置いたスマホを眺めている人は少ないと思うけど、今の私がまさにその感じだ。

……ですよね。うん。上原主任は私の連絡先を普通に知っているよね。
私だって、上原主任の連絡先を知っているもん。

でも、スマホに表示された【上原主任】の文字に恐怖しか感じない。

出ないで月曜日を迎えるのはとても怖いし、主任が言った言葉を思い出しながら頭を抱える。

デート誘われたんだよね。
デート……って、何よ。

だって月曜日の朝一で高井さんに“病み上がりを、すぐに食事に誘うのは感心しない”って言っていたのはあなたでしょう?
それなのに“病み上がり”を一週間おいて“デート”に誘うのは感心出来ることなの?

言っている事がむちゃくちゃで、どう対応すればいいのか……。

考えているうちに、スマホの振動が止まった。

諦めたのかな?
そう考えたのは一瞬で、またすぐにスマホの振動が始まる。

……わかりましたよ。出ますよ。

溜め息をつくと、スマホを手にとった。

「もしもし……」

『ああ、起きていたか?』

聞こえてきたのは、いつも以上に淡々とした主任の声。

休日も普段と変わりなく起きます。それが私の生活サイクルですもん。

「はい……あの。今日のデー……おでかけ、中止にしていただくわけにはまいりませんか?」

勇気を出して言ってみると、返ってきたのは沈黙だった。