強引な次期社長に独り占めされてます!
そうしている間にも芳賀さんや経理の他の人たちも出社して、その都度ニッコリ……たぶん笑えていたと思うけど……挨拶をし続けて、お昼が回る頃には何だかぐったり疲れた。

人間、無理は続かないものです。

「松浦ちゃん。いきなり無理してなーい?」

「無理していません。大丈夫です」

今日はコンビニパンの芳賀さんを横目に見ながらお弁当を広げていたら、いきなり背後から頭をわしゃわしゃとかき混ぜられる。

「……なっ!?」

何事っ!?

バッと振り向くと、無表情で主任が人の頭をグリグリ撫でていてポカンとした。

……唐突になんですか、主任。

「瘤ももうないみたいだな。よかったよかった」

いや、今のこの現状は全くよくないですけど。

唖然とする芳賀さんと、無言になった私を見下ろし、主任は人の弁当箱から唐揚げを盗んで口に入れてしまう。

「あれ。冷凍食品ぽくない」

「冷凍食品じゃありません! と言うよりも、どうして断りもなく、人のオカズ食べちゃうんですか」

「腹減ったから?」

……そりゃそうでしょうけど。

どうしろと言うんだろう。唖然としたままの芳賀さんと、主任を交互に見ていたら、遥か後方で野間さんが大爆笑している。

「野間さぁん……」

「はいはい野間さんですよー。松浦さんは本当に女子にはすぐ甘えるわねー。上原主任、よければ私が出前頼みますよ」

「塩ラーメンよろしく」

主任が真面目にそう返して、またデスクに戻っていった。

……もう。本当に何なんですか。
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