嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


冬に入りかけのこの季節は普通の人にとっては多分何でもない寒さへの準備期間。

けれどわたしにとっては一番気を遣う時期。

朝晩と昼間の温度差が身体に少し負担がかかる。無意識に大きく深呼吸してしまう。

いっそ一気に寒くなってくれるとラクなのに・・・・・。


「成海、相変わらず早いな」

オフィスの電気がつけられ、急に明るくなって声をかけられる。

「おはようございます、斎川(さいかわ)課長」

「いいもの食ってるな。オレのはないのか?」

「ただのサンドイッチで良ければどうぞ」

そう言って席を立ち、コーヒーを入れに行く。

給湯室から戻ると手帳とにらめっこしながらわたしの隣の席で課長がサンドイッチを齧っていた。

「どうぞ」

ブラックコーヒーを課長の前に置いて、座る。

「サンキュー」

35歳という年齢の割に笑うと幼い印象になる。178センチの長身、学生時代はテニスをやっていて、今でもたまに休日に友人たちと楽しむらしく、筋肉質な身体をしていた。
< 19 / 153 >

この作品をシェア

pagetop