嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


歓迎会の夜、トイレから出るとオレ目の前に背中を向けて電話で話す成海がいた。

「は?迎え?要らないし。大丈夫、子供やないんやから。心配症やね、健太郎さん」


健太郎さんーーー。



ダンナの名前だろうか。
なんとなく胸の奥が焦れる。

「愛されてるね」
そう言うと頬を染めて「恥ずかしい」と返してきた。

微笑ましいと思う反面、面白くないと思う自分がいる。

なんだ、この感情は・・・・・・・・・・?



躓きそうになった成海を一瞬、腕に抱いた。

細くて小さくてすっぽりとオレの腕に収まる。

離したくないと感じたのは、きっとオレの気のせいだ。


成海は人のモノ。

決して触れてはいけないモノ。

この気持ちは恋じゃない。

10代のころの恋を思い出して、胸が締め付けられるだけ。



絶対にーーーーー。




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