この度、友情結婚いたしました。
「色々ありまして、友情結婚いたしました」
海沿いにあり、小高い丘に立つチャペルからはキラキラと輝く海が見渡せる。

優しいパイプオルガンの音色が響く中、神秘的な挙式は順調に進んでいった。


「それでは、誓いのキスを」

外人の牧師さんの口から出たのは、少しだけ不自然な日本語。
それでも充分理解できる。

牧師の声にお互いゆっくりと向き合い、私は彼にベールを上げてもらうべく少しだけ屈んだ。
すると長い手が伸びてきて、そっとベールが上げられる。

さっきまでぼやけていた視界が鮮明になり、顔を上げれば長年見飽きた顔がある。

壇上の下にはお互いの両親や親戚、友人達が感動の眼差しを送っている。

そんな神聖な場所で私達はお互い見つめ合い、心の中で言葉を交わしていた。


『間違っても唇にキスなんてしないでよね!』

『当たり前だろ?誰がお前にキスなんかするか!』
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