この度、友情結婚いたしました。
「孫を期待されても困ります!」
「まどか、悪いんだけど二部ずつコピーしてもらってもいい?」

「分かりました」

琢磨から書類を受け取り、事務所内の奥にあるコピー機の方へと向かう。


青葉法律事務所で働き始めて早、一週間。
戸惑うことばかりだった仕事も少しずつ慣れてきて、できる仕事も増えてきた。

私のマイ読書本は法律関係の著書ばかり。
事務職とはいえ、無知な私を雇ってしまったと後悔されぬよう、必要最低限の知識は身につけようと必死だ。


おかげで少し寝不足気味。
気が緩むと……あぁ、だめだ我慢できない。

ちょうど今、俊哉さんと真希さんは不在。
そう思うと余計に気が緩々に緩んでしまう。

コピーを取っている間に口元を手で押さえ欠伸してしまったその時。


「どうして敬語?」

「……っびっくりさせないでよっ」


いつの間に背後に回っていたのだろうか。眠気も一気に飛び散った。

スッとんだ声を上げてしまっても琢磨は表情を変えず、どこか面白くなさそうに言ってきた。
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