SEXY-POLICE79
第一章:少年との出会い
陽は暮れて時刻は子の刻になる。

草がざわめき、鴉が一斉に飛び立った。人気すらないこの地に一台の車が駆け抜ける。険しい山路だ。車が、ぐわんぐわんと上下に揺らいで中に乗る。自分たちにまで振動が伝わる。平らな道は一切なく、急カーブが続く。

運転を始め約一時間、目的地に着いたのか車は止まりライトが廃墟と化した病院を照らす。車の中から出てきたのは少年と相棒の河和だ。今日は黒雲が多く月が見えない。

少年は手慣れた動作で煙草を口にくわえ火をつけると、白煙がすうと天をのぼる。

「ここが例の現場か。いかにも霊が出そうだな、河和」

「後六十秒で例の霊が出るとされる時刻です。くれぐれも気を許すことなく」

ぐさっと突き刺さる河和の言葉。

「わーってるよ。ったくトゲのある言い方だなぁ、お前は」

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