……はぁ、
「……華ちゃん、それ何回目?」
「……え?あ、ごめんなさい!美和さん、今何か言いました?」
「…………」
呆れた顔で息を吐いた美和さんが店の奥から歩いて来て、レジカウンター内私の隣へ腰かけた。
「朝からずーっと惚けてため息ばっかり」
「あ……、」
「昨日何があったの?いつもの眼鏡じゃない理由も同じかしら?」
店内には誰もお客さんは居なくて、美和さんは少し楽しそうに私を覗き込んだ。
「……実は、」
私は昨日あったことを美和さんに話した。
「その人、どんな人なの?」
「どんなって……私はメガネしてなかったからぼやけてたんですけど、それでもカッコイイ人でした」
「へぇー」
「凄く紳士的で優しい人だったんです」
「話を聞く限りそうみたいね」
「名刺をくれて、名乗るだけより安心でしょって」
言いながら私は店の奥へと入り鞄から貰った名刺を取り出した。