マヤの顔がどんどん歪んでいく。


私の腕を離し、その腕は今一之瀬さんに捻りあげられていた。



「い、一之瀬さん!この人、一応、同級生で、」



瞬間、パッと離された腕をマヤがかばうようにさすった。


そんなマヤを見向きもせず、一之瀬さんは私のほうへ腰を折って覗きこむ。



「腕、見せて。……赤くなってる」



そっと赤くなった所を撫でる手にドキドキした。



「華、もしかして、」



ぐっと眉を寄せたマヤが私に視線を向けた。


その目は出逢ってから初めて真っ正面から向けられた気がした。



「うん。……マヤの事はなんとも思ってない。ごめんなさい」



あの時、自分にされなかった“返事”を。


私が返す。



「わかった」



呟いて去って行った後ろ姿に息を吐いた。



「一之瀬さん、」


「丁度通りかかってよかった」


「すみません、なんか変な所見せて……」


「ううん、」



一之瀬さんは私を見て心配そうだった顔をフッと緩めた。



「力の加減も出来ない男に取られなくてよかった」