季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
しばらくドライブをした後、お洒落なイタリアンレストランで昼食を取りながら、この後どこに行こうかと相談した。

「私…あまりデートらしいデートをした事がないので…思い浮かぶのは水族館とか動物園とか遊園地とか…子供っぽいところばかりです。」

「子供っぽいかな?そう言えば、動物園なんてもう何年も行ってないなぁ。何十年か?」

早苗さんはおかしそうに笑った。

「何十年なんて大袈裟です。」

「いや、ホントに。行ってみる?」

「いいんですか?退屈しませんか?」

「俺は朱里ちゃんと一緒ならどこでも楽しいし、朱里ちゃんが楽しいなら俺も楽しい。」

またそういう事を…!!

なんだかもう申し訳ないくらい恥ずかしくて、赤い顔をして思わずうつむいた。

「朱里ちゃん顔赤い。照れ屋さんだね。」

早苗さんは笑いながら指先で私の頬に触れた。

余計に顔が赤くなる。

大人って…大人って……!!

何気ない仕草や言葉に余裕とか色気とかありすぎて、こっちの身がもたないよ!

今日の早苗さんは、なんだか随分積極的だ。

早苗さんは男なのだと、今までの何倍も意識してしまう。

少し顔を上げると、早苗さんと目が合った。

みっ…見られてた!!

「ん…?どうしたの?」

「いえ…何も…。」


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