強引なカレの甘い束縛


「萩尾七瀬です。大原部長にはいつもお世話になっています」

多少の緊張感はご愛嬌。

どうにか口元に笑顔を作って挨拶をした。

その間も、陽太の手が私の背中から離れることはなくて、それが意外に心地いい。

「車がないと不便なこんな場所までわざわざごめんなさいね。疲れたでしょ?
萩尾さんのことは主人からよく聞いてるのよ。萩尾さんというより、いつも七瀬ちゃん七瀬ちゃんてうるさいのよ。いつも口の悪いおじさんのお世話をしてくれてありがとう。苦味のあるお茶を淹れてくれたり二日酔いのお薬を用意してくれたり、仕事じゃないことにまで手をかけてもらってごめんなさいね」

奥様は目を細め、申し訳なさそうに頷いた。

「仕事はできるのかもしれないけど、それ以外は何もできない子供なの。七瀬ちゃんにも書類作りやスケジュール調整だとか、あ、出張の段取りも全部お願いしてるんじゃない?」

奥様はそう言って、ため息交じりに肩をすくめた。



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