強引なカレの甘い束縛


自分の気持ちを隠すことは切ないけれど、それでもこうやって親密な距離で歩くことが嬉しくてたまらない。

口元が緩んでいるのが鏡を見なくてもわかる。

「炊き込みご飯にうす揚げは欠かせないし、しいたけも忘れずに」

陽太が小声で口にする言葉に私も軽く頷きながら、私が感じた以上に今日のバーベキューには重要な意味があったのだろうかと思い返しつつ。

そんなことよりも今は。

「鶏肉も、忘れちゃだめだね」

陽太の隣りに立ち、顔を見ながらそう言える幸せを感じた。

ずっと、この時間が続けばいいのに。

今日、何度そう思ったことだろう。



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