君を選んだから
勘違いだと思いたい
< 勘違いだと思いたい >
「ねぇ、あおいちゃん、郁海は会社でどんな感じなの?」
「え? あっ、頑張ってますよ。取引先にも評判良いし、営業成績も伸びてるし。」
「それは担当店舗が売り場拡大したからだろ。そんなこと、いちいちあおいに聞くなよ。」
「でも、他に聞く人いないでしょ? お母さん、気になるもの。」
「大丈夫だから、ほっといてくれよ。俺、いくつだと思ってんだよ。」
「あはははは.......。母さんにとっては、郁海はいつまでも小さい頃のままだからな。」
「うるせぇよ、兄貴。」
「だって、本当のことじゃん。」
なるほど。そんな感じがする。
マザコンってほどじゃ無さそうだけど、少なくともお母さんは須賀くんが可愛くて可愛くて仕方ない、みたいな?
これはやっぱりお母さんから攻略するべきなんだろうか。
好き嫌いがハッキリしてるって言ってたし、大事な息子に気に食わない女が近付いたら全力で排除しそうなタイプよね。
今のところ、特に嫌われてはなさそうだから、この調子で頑張らないと。
そんな息子たちとお母さんのやり取りを、さっきからお父さんはニコニコしながら静かに見守っている。
これがきっとこの家族のベストバランスなんだろうな。
何かいいよね、そういうの。
ホント、理想的な仲良し家族。