甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

課長がどうして家に?



目覚ましが鳴る。ああ土曜日なのに、間違ってアラーム設定しちゃったんだ。

ちょっと頭痛いかも。
昨日、飲みすぎたかな。っていうか、なんか胸元が冷たい感じがする。
何? と、ブラジャーのカップに手を突っ込む。
そこにあったのは、見覚えのない鍵。
はてどうして私のブラジャーのカップの中に鍵があるんだろうか。

「やっと起きたか」

そう言われて身体を起こすと、見覚えのある私の部屋。なのに、そこにいたのは、いるはずもない矢嶋課長だった。

「か……課長?」
「か……課長じゃねーよ。てめー、昨日のことまさか覚えてないなんて言わねーだろうな」

睨まれると、胸倉をつかまれ拳が飛んでくるのではないかと身の危険を感じ、掛け布団を頭までかぶった。

「お……覚えてますとは言えません」
「あんな風に、はめ外すの痛いぞ」
「……」
「とにかく」というと、掛け布団を持ち上げられ、顔をあらわにされた。
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