溺愛レンズ

青春




「レイー!!!!」



森林の中を一人、そんな事を考えながらボーッと歩いていると…アキラちゃんの大きな声が聞こえてくる。



キョロキョロと辺りを見わたすと、少し先からアキラちゃんが全力で走って来るのが視界に入った。



「良かった、レイってば後ろ振り返ったら居ないんだもん!ビックリしたじゃん!!」



「ごめん!ちょっと…出遅れちゃって」



「もぉ、捕まったのかと思って心配したんだから!」



そう言ったアキラちゃんは、眉を困らせながら私を見つめると「まぁ無事で良かった」と言って私の手を引きながら歩き出す。



アキラちゃんは私の幼馴染で親友で、今まで何でも話してきた。


さっき起きた事も、カナデの事もアキラちゃんには話しておきたい…だけど…カナデは芸能人だ。いくらアキラちゃんでも、私の勝手でカナデの事を話すわけにはいかない…よね。



何だかアキラちゃんへ隠し事をしてしまった事と、嘘があまり得意ではないのにそんな事をしたせいか胸はモヤモヤ状態で…少しだけ心がぼんやりとした気持ちになる。



「結局カナデ見れなかったなぁ、残念」



残念そうにそう呟くアキラちゃんに何て言ったら良いのか分からず「う…うん」とそんな歯切れの悪い言葉がこぼれ落ちるだけ。



「まぁ大物スターがそんな簡単に見れるわけ無いか!スタッフとかめっちゃ囲ってそうだもんね」


やっぱりアキラちゃんには話した方が……




「…あのね、アキラちゃん…」


「あ!ていうかそれよりもレイ、急がないとキャンプファイヤー始まっちゃうよ!!」



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